先代から続く味へのこだわりを追求し続ける
株式会社にんべんいち
茨城県大洗町で水揚げされたしらすを加工・販売する株式会社にんべんいち。県内で初めて導入した「プロトン凍結機」を使用して、一年を通して新鮮なしらすを提供しています。今回、代表の坂本貴英さんに事業者の声として、しらすのこだわりなどについてお話を伺いました。
にんべんいち：http://ninben1.com/index.html
ー まずはにんべんいちさんがどのような会社か教えてください
弊社はしらす専門でやっている会社で、地元の漁師さんが獲った生しらすを加工して販売しています。私の父である２代目からしらすの加工を始め、現在、従業員は19名で、地元の方だけでなく外国人の方も働いている多様性のある職場です。加工現場は体力的にも大変な仕事ではありますが、全員が「安心安全なしらすを提供する」「おいしいものをつくる」と強い思いをもって日々頑張っています。私自身も先代から受け継いでいる味を再現していきたいと日々、しらすと向き合っています。
ー 坂本さんは３代目になるんですね
昔と今でおいしいものをつくるという本質的な部分は変わっていませんが、近年、「おいしい」は当たり前になっていて、そこからどのような付加価値を提供するかが非常に求められています。つくれば売れるという時代ではなく、味、見た目、見せ方、価格、伝え方など、様々な要素を一つひとつ追求していかなければいけない時代になっていると思います。弊社は業者さんへの卸しだけでなく、お客様に提供する直営店もやっていて、ホームページやSNSも始めてと、少しずつ時代の変化に対応してきました。
ー 直営店を始めたきっかけや、始めてみての変化は何かありましたか
直営店を始めたきっかけは、町に観光客が増えてきたことが大きいですね。お店の隣にある工場で高い鮮度を保ったまま加工したしらすを観光客の方々に提供したいと思っていました。観光に来た帰り道に寄ってお土産として購入いただいたり、中には遠方の方で「今日お店やってますか？」とわざわざ事前に電話をしてくれる方もいます。季節や気候によって、しらすが獲れない時もあるので、販売ができない日もあるのですが、それでも「また次回来た時、楽しみにしてますね」と言っていただけるんです。はじめは小さくお店をスタートしたのですが、徐々に地元の方に知っていただき、観光客の方に知っていただき、今では遠方からも来ていただくまで広がっています。
ー ここまで広がってきた背景として、力を入れてきたことはありますか
小さなことかもしれないですが、お店の前に看板を出したり、SNSで発信したり、ふるさと納税に出品したり、あとは地元のあんこう祭などのイベントに出店したり、他の市町村に販売に出向いたりと、自分たちでできることを継続してやってきました。また、Sea級グルメという全国大会に出場して、しらす丼で準グランプリを獲得したこともあります。そのような取り組みをコツコツ続けてきたことも大きいと思いますが、なにより先代から続く味へのこだわりを私が代表になっても追求していることは広がってきた要因として大きいと思います。おいしさに大事な塩や加工する際の温度、その時間、それらを実現するための技術や機械などです。そして、毎日つくったものは必ず味見をして、納得できたものだけを販売しています。ありがたいことに多くのお客様から「おいしい！」という言葉をいただき、それがまた励みになって、おいしいものをつくろうと思えるんです。
ー いま、坂本さんが一番関心あることはなんですか
弊社はこれまで水産加工をしてきた企業でもあるので、その観点で水産物を使った新しい商品や事業をつくりたいと思っています。その理由として、今の商品を売り続けるのも一つの選択肢ですが、それだけでは生き残っていくのは難しく、次の時代や世代に向けて新しいものを生み出すことが必要だと思っています。しらす専門でやっているので、しらすを使った商品や事業をと考えていますが、技術や機械を導入するのには設備投資や場所も必要になります。そのため、今持っている技術や機械の中でできることを考えていきたいと思っています。
ー 改めて、どのような方ににんべんいちの商品を食べてほしいですか
大洗で獲れたしらすを、ここの工場で加工し販売しているので、大洗町のことが好きな人に食べてほしいのが一番です。ふるさと納税で注文される方も大洗町のことが好き、大洗町のことを応援したいという思いで寄付をしてくれているのだと思います。しらすはメインで食べてもいいですし、ご飯や玉子焼き、ピザ、パスタ、アヒージョなど色んな料理に合うので、食卓を豊かにしてくれる食材だと思います。
ー 最後に、大洗生まれ、大洗育ちである坂本さんから見た大洗の魅力を教えてください
大洗には海があって、ゆったりした雰囲気があって、コンパクトで暮らしやすいまちですよね。年々好きになっているなと感じていて、特に人の温かさをより感じるようになっています。一方で、夏場を中心に観光客の方も多く、賑やかな一面もあります。最近はキャンプブームで、まちにある3つのキャンプ場も盛り上がっています。弊社は町の方だけでなく、観光客の方にも支えていただいていますので、もっと大洗町に訪れてくれる人が増えたらいいなと思っています。その際はにんべんいちにも立ち寄っていただき、こだわりのしらすを味わっていただけたら嬉しいです。
